●VIDEO ACT!第7回上映会報告

 二度殺される「死刑囚」の実態描いた作品

小林アツシ 

   <9月7日 東京ボランティア市民活動センター> 

 死刑の問題というとなかなか人は集まらないのではないかと心配したが、それでも35人が集まった。

 死刑制度についてまっこうから議論になる事は少ない。その原因のひとつとして死刑囚がどういう状況に置かれているかがあまりにも知らされていないという現実がある。死刑について賛成・反対以前に、議論の材料となるべき事が知らされていないのだ。

 今回紹介した『ある殺人犯の独白 〜隠された死刑囚〜』は、そうした状況を踏まえて作られた。死刑を宣告された人物がどのような精神状態で死刑になるまでの期間を過ごしているのかを明らかにしようとする試みだ。

 監督の静原遊一は、普段テレビ番組のディレクターをしている。今回の企画は当初テレビ番組として企画したが採用されず、それでもなんとか作りたいと思い自主制作での制作に踏み切ったという。カメラマンをはじめ日頃付き合いのあるプロのスタッフが協力した。

 拘置所内の取材ができず、しかも主人公である本人はすでに死刑にされてしまっているにもかかわらず、静原は自分が持っているありとあらゆるテクニックを使い主人公である死刑囚が弁護士に送った手紙を中心に彼の精神状態を描いていく。

 静原は、この作品では主人公の家族や生い立ちについて触れるのは極力避けたという。同情を避け、あえてクールに死刑囚の状況を描こうとしたのだ。死刑囚は、実際に死刑になるだけではなく、死刑になるまでの間、自分がやがて殺されるという恐怖に苦しめられ続け「二度殺される」という。その過程がこの作品ではしっかりと描かれている。

 今回の上映会では、『東京拘置所前 インターネット生中継ドキュメント』という作品も上映された。過日、死刑が行われるのではないかとされた日、東京拘置所の前でインターネットの生中継による監視行動を行った記録である。

 インターネットの生中継を行ったジャーナリストの今井恭平が登場。堅いイメージの彼も実際に話してみると気さくな人物である。そんな彼の人物像がよく出ていた。

 この『ドキュメント』を制作したのは電撃映音舎、期待のビデオ作家、土屋トカチ。上映会の参加者から一部、批判的な提言も出ていたが、コンピュータによるノンリニアの編集システムで上映会のためにわざわざ作ったという意欲的な姿勢は今後を期待させるものだった。

 

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