VIDEO ACT上映会 vol.13 

「そして彼女は片目を塞ぐ」 (監督 根来 佑 54分 DV)


 作品説明

 2001年冬、気付いたら友達が死んでいた

  正月以降メールこないなと思っていたが

 

  続いて春にももう一人友人が死んだ

  両方とも自殺だった

  彼女達はあまりに多くのものが見えすぎたようだった
  だから、片方の手で目をおさえてみる。そうすると
  世界は半分しか見えなくなる。醜悪なものも半分に
  減る。そうやっていきのびてきた人たちだったと思う

  でも、死んでしまった

  きみが悪いほどに自分は何も感じていなかった。泣きも
  怒りもしなかった。死ぬということはもう会えないし肉体も
  ないんだってことがうまく認識できないでいた
  感情が凍りついていた

  ただ、わたしには彼女達と一緒に議論してみたり、
  お茶をのんでみたり、ねころんでみたりしたということだけが
  残った

  周りの友達ともその死についてあまり語ることは
  なかった。ひっそりと時間がすぎていく。このまま、
  彼女達が存在したことが風化していくんだなあと思った。

  残酷だけれど

  理不尽だってことは分かっている
  わかっているけれど、何ができるというのだろう?
  政治運動や宗教やそういうことでなにかが
  かわるというのだろうか?

  つづっていくことだと思った

  私が抱きしめた彼女達の体温と、息遣いと、
  そういう彼女達のあまりにも若い時期の
  まだ無垢でそして残酷な面をすこしでも
  私の手のひらの中に閉じ込めたかった

  あの時間を閉じ込めたかった

  だから私は撮った

  無駄にまじめで、ユーモアが無く、不器用で、
  極度にトロく、口もたたず、権力も金もなく
  人と関係を持つことが怖い自分が出来ることは

  そういうことくらいだった

 

 

 

 

 

 

上映会報告 文責 二宮正樹

 

10月24日根来 佑(ねごろ ゆう)監督作品「そして彼女は片目を塞ぐ」の上映が
飯田橋ボランティアセンターにて行われました。
寒さも増す中たくさんのお客さんが来てくださり、ビデオアクトの上映会としては
「新しい神様」に次ぐ動員を記録!めでたいことです。

作品冒頭。
明滅をくりかえす、夜のビルの光。その画にかぶさり、根来さんとその友人との電話での会話が入る。
どうやら摂食障害を抱えていた友人が自殺してしまったらしい(左・作品説明を参照)。
根来さんのナレーションが入る。友人の死について、彼女自身も摂食障害を抱えていることについて
そして解決方法を求めてたどり着いた自助グループのひとたちとの最初の出会いについて。
淡々と語る。僕は素敵な映像も相俟ってすっかり引き込まれる。
このプロローグを経て作品ははじまる。

ともに悩む自助グループの人たちひとりひとりと話をしてゆく。
根来さんが(ある程度自分の体験に基づく)テーマを設け、話を聞く側に回る。
みな自分の体験を赤裸々に語ってゆく。

この作品が他の摂食障害やその他いろんな問題を扱ったものと違うのは
聞くほうも話すほうも自分を確認しようとしてるところだと思う。
問題についてかたりながら、自分の抱えているものをゆっくり紐解いてゆく。

で、そこがいいんだと思う。

根来さんは「もっとパブリックなものに」とか「個人的」すぎるとかいうけれども
「パブリック」なものが、ないがしろにしてゆく部分というのが必ずあると思うから。
まーでも「このままでいい」とかゆってしまうと思考停止してるよーな気もするけど
その辺は僕自身も考えている最中なので、とりあえず、おたがいがんばりましょう笑

ここで作品すべてについて触れることは不可能だと思うので
興味をお持ちでまだ見ていない方は、実際に作品を見てみてください。

そして上映終了。
根来監督と映画の出演者であるとっぴーさんとひろえさんの三人によるトークが行われました。
とっぴーさんひろえさんどちらも、話出すと止まらない性質らしく
摂食障害の話から、万引きKGB(CIA?FBI?だったか?)や、
深夜3時に大量にカントリーマアムやらをかう女はやばいよね、といった話に脱線したりすることが
多々ありました
逆にそこで、今まで傷つきながらもタフに生きてきた感じが伝わってきたので
「くだらねー」と思いながらも好感を持ちましたけど笑

会場からの質問 「で、結局社会復帰できたのですか?」にも
「社会復帰って言葉は嫌いだって言ってるだろう!」と切り返すあたりもかなり素敵でした。

ちなみにひろえさんは詩作、とっぴーさんは現在ドキュメンタリーを制作中ということで
表現をしていこうという気概にあふれる方たちなので
そのうち、何か作品を見ることができる機会があるでしょう。
期待しています。

2001.11.22


 アンケートより

摂食障害の症状や当事者とはほとんど接したことが無かったが今後チャンスがあれば関心をもって接していきたいと思う。
 ただやはり摂食障害というテーマはすこし遠くて、自分に同一化することは難しいし、トークもちょっと聞きずらかった。
 でも根来さんのおっしゃった「プライベートドキュメンタリー」にくくられることに対して
「パブリックな場に出せるものにしないといけない」というプレッシャー・ジレンマのようなものが感じられそこに共感できました。

映画の中で「家族だからこそ話せないことがある」と言っていた方がいて、それがすごく心に残りました。おれも対家族で問題があるので。

NABAの人との信頼関係があることに驚きました。あそこまで話してくれる仲間がいることがうらやましかったです。とてもいい作品でした。上等だと思いますよ。スゴイです。

精神保健のボランティアをやってきたせいもあってとても興味深く見せていただきました。
 一番意外に思ったことは出演されている人たちがあっけらかんとしていて、今の自分を素直に受け入れていることでした。

「理論武装しすぎた」と言っていましたが全然そんな感じはしませんでした。
僕は根来さんのあわい映像表現の部分が好きなんです。ふみきりのとことか!
 最後五分でまとめに入りましたがそのようにするには性急すぎたんじゃないかと思います。




トップページ

■ VIDEO ACT HOME ■
■ビデオアクトについて ■ビデオ販売 ■上映会 ■AcTV ■メンバー ■メーリングリスト ■掲示板 ■上映イベント告知板 ■特別企画 ■サイトマップ
2004 VideoAct. All rights reserved.