第26回
VIDEO ACT! 上映会
〜 軍事依存の果て 〜
報告文:土屋豊



 12月7日、「軍事依存の果て」と題する26回目のビデオアクト
上映会が行われました。上映作品は、『軍需工場は、今』(監督:小
林アツシ)と『クアリ』(監督:中井信介)。参加者は約30名で、
初めてビデオアクトの上映会に参加する人が多かったようです。
 まず、司会の土屋トカチさんからビデオアクトと上映作品の説明が
あり、その後、『軍需工場は、今』から上映がスタートしました。

 『軍需工場は、今』は、マスメディアではほとんど報道されること
のない日本の軍需産業の実態を詳細に取材した貴重な作品でした。特
にストーリーの中心となる、戦争反対を訴える石川島播磨の社員への
労働差別の実態には驚かされました。公安と共同で作り上げられた
「差別名簿」の存在は、今の日本が戦前、あるいはむしろ、戦中であ
ることの証明のように思えました。
 続いて上映された『クアリ』は、かつてフィリピン・クアリ村にあっ
た米軍演習場で不発弾を拾うなどして生計を立てていた人々の米軍撤
退後の生活を描いた作品でした。撤退により生活の糧を失われた人々
は、違法な森林伐採等を行いながら何とか生き抜こうとしていました。
その姿を丹念に、そしてやさしく見つめるビデオカメラのまなざしは、
写されたフレームの外までも雄弁に物語っていたと思います。ラスト
シーンのクアリ村の男が言った「かつての日本軍も、最近までいた米
軍も、みんな同じ。俺たちにはヤツらと闘う術がない。もう怒るのは
やめることにした」という言葉はとても重く、この作品のテーマを語っ
ているようでした。

 上映後は、各々の監督から作品制作の経緯等の話がありました。
 中井さんは、93年頃からスモーキーマウンテン等で写真撮影を開
始し、その後、沖縄の米軍基地にあるディスコ・クラブで働くでフィ
リピン人女性と会ったのをきっかけに、貧困を背景とした米軍基地に
依存するフィリピン人の生活に興味を持ったとのことでした。
 小林さんからは、石川島播磨の労働差別裁判の勝利和解金でこの作
品が作られたという説明がありました。マスメディアでは報道されて
いない実態を丁寧に伝えたかったとのことでした。

 続いて参加者も含めたディスカッションに入りましたが、会場から
はいつも以上に多くの質問の手が挙がりました。印象に残ったのは、
「自分が武器を作ることに良心の呵責があるなら会社を辞めればいい
のに、なぜ石川島播磨の社員は辞めないのか?」という質問でした。
小林さんは「その社員の葛藤に共感する」、中井さんは「軍需工場の
社員がその内部から反対の声を挙げることに意義がある」というよう
なことを話していました。

 この質問は、「日本人であることに良心の呵責があるなら日本人を
辞めればいいのに、なぜあなたは日本人を辞めないのか?」と私自身
も問われているような感じがしました。「もう怒るのはやめることに
した」と言うクアリ村の男に対して、日本人としての私はどんな言葉
を返して行くのか?そんなことを考えさせてくれる上映会だったので、
この2本立てはかなり成功だったのではないかと思われます。

 次回ビデオアクト上映会も是非、御期待下さい。

(土屋 豊)
★上映作品・スタッフ募集中!★


■ VIDEO ACT HOME ■
■ビデオアクトについて ■ビデオ販売 ■上映会 ■AcTV ■メンバー ■メーリングリスト ■掲示板 ■上映イベント告知板 ■特別企画 ■サイトマップ
2004 VideoAct. All rights reserved.