第29回
VIDEO ACT! 上映会

〜取材対象者からの脱出〜

上映会報告




報告文:土屋トカチ


 2006年6月23日、第29回ビデオアクト上映会として「ユニークフェイス・ライフ」の上映を行った。参加者は35名だった。
ユニークフェイスとは、先天的な病気、後天的な病気・火傷・事故などで、顔や身体が「ユニーク」であることを指す。「ユニーク」さ故に、日常生活において偏見や差別にさらされることが多く、現在日本には、このような当事者が推定数十万人いるという。
 また、ユニークフェイスとは、当事者や支援者から構成されているグループのことも指す。
NPO法人ユニークフェイスは様々な支援活動を行っている。会長の石井政之さんは、フリーランスのジャーナリストであり、今回上映した作品「ユニークフェイス・ライフ」の監督でもある。
 「ユニークフェイス・ライフ」が生まれるキッカケには、ユニークフェイスが受けた取材時の事件があるという。あるTV局の取材に応じた石井さんは、顔出し出演を承諾していたにも関わらず、オンエアでは顔にモザイクがかけられ、音声も変えられたという。また、他のTV取材にも応じてきたが、何時間もの取材を受けても完成しオンエアされる番組は、5〜6分程度のもの。放映権もTV局のものであるから、自分たちで活用することができない。問題が番組内で単純化されていくことにも不満があった。このような経験を重ねる中、「自分たちの手で、自分たちの問題を撮らなければ」という考えに至る。とある製薬の助成金を受け、映像作品「ユニークフェイス・ライフ」の制作が始まったそうだ。
 取材を行ったのは、ユニークフェイスのメンバーで当事者。ビデオのスキルは、経験があるという人でも、子どもの運動会を撮影したことがあるというレベル。NPO法人アワープラネットTVの協力を得て、撮影方法・構成案の作成・編集方法を学んだという。
 取材対象者も、ユニークフェイスのメンバーだ。これまでに、メディアで取材を受けた経験を持つ、久保丈夫さん、奥中さゆりさん、監督の石井さん自身が出演している。他の方にも取材対象者となることを求めたが、断られたという。中には、一旦、取材を了解されて、後日改めて丁重に断られるというケースもあったそうだ。
作品の主な内容としては、久保さん、奥中さんがインタビューを受け、日常生活の中で受けた経験を話すというもの。また、当事者の母親同士の会話や、石井さんの両親へのインタビューもあった。
 「きったねぇ顔」「アレ何?見てみて」「全盲の先生になりなさい」「アザがあるから、一生懸命勉強しなさい」というような言葉の暴力を受けた経験を、ユニークフェイスである当事者が話すシーンは、TV番組のように細切れにはしていないこともあり、大変力強い。しかし、これが必ずしも「当事者でしか撮れない映像」なのか、疑問も感じさせた。上映後のトークの時間には、この点への質問もあった。
 「このシーンを残すと、取材を受けた本人からクレームがあるなと感じた箇所がある場合、試写の時には残しておき、ダメと反応があれば外した。撮影が終わったあとも、人間関係が続くということは、強みでもあり、弱みでもあるかな。」と、石井さんは話していた。当事者が当事者を取材するというユニークな手法の、困難な部分だと思う。
 石井さんには、次回作の構想もあるという。時間をかけて取材対象者を見つけ、撮りたいと思っている人を撮影し、完全に自身の作品と呼べるものを目指すそうだ。出演した久保さんは、「取材の2時間で話し尽くした」とユニークフェイスを脱退したという。また、「この作品では、まだまだ物足りない」と、映像制作を学び撮影を始めた当事者も現れたそうだ。
 作品にも登場するジャーナリストの下村健一さんは、この作品の完成時に「誕生おめでとう」と発言したそうだが、言い得ていると改めて感じた。取材対象者からの脱出は、まだはじまったばかり。序章なのだ。

「ユニークフェイス・ライフ」は、ビデオパッケージ等の予定はなく、上映会でのみ観ることが可能とのこと。今後の上映予定は、ユニークフェイスのウェブサイトhttp://www.uniqueface.org/ にて、ご確認ください。


<お詫び>
上映当日、システムのトラブルで映像・音声が乱れ、ご入場いただいたお客様・関係者様に多大なご迷惑をお掛けしたことを、この場にてお詫びいたします。
申し訳ありませんでした。


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