第31回
VIDEO ACT! 上映会
共謀罪TV
〜市民メディアで阻止〜
上映会報告

『共謀罪TV』

報告文:本田孝義

10月17日、飯田橋にある東京ボランティア・市民活動センターにて第31回のビデオアクト上映会が行われた。
ビデオアクトの上映会は、優れた作品を鑑賞するというだけではなく、映像でいかに社会と関わっていくかを模索するものでもある。今回の上映会は、まさにそうした活動を紹介し考えていくためにも企画された。題して、「共謀罪TV〜市民メディアで阻止〜」。
共謀罪といえば、「話し合っただけでも罪になる」ような法律を政府は作ろうとしているわけだが、この日紹介したのは、「共謀罪に反対する表現者たちの会」の活動だ。この会は、共謀罪に危機感をいだいたフリーランスのジャーナリストを中心にしたグループだ。この日は、岩本太郎さんが中心に話をしてくれた。共謀罪という法案自体は2003年に国会に出てきたが、昨年2005年まであまり話題になっていなかった。共謀罪に反対していることをどうやってアピールしていくかを考えた時に、映像を活用することを考えたそうだ。ライターの方々がこういう発想をしたことがまずおもしろい。例えば、上映会で一部だけ見た、昨年秋に行われた「共謀罪に反対する表現者たちの集い」を記録したDVDは、全国各地の集会・勉強会などでも活用され、数百枚も売れたという。もっとも、このDVDは利益目的ではなく広げることを第一に考えた、ほとんど実費のみに近い価格だ。(手前味噌になるが、この辺の考え方はビデオアクトの3分ビデオを収録した各ビデオと似ている。)
そして、今年の春ぐらいからかなり活発にインターネット上で映像配信を始めた。上映会で上映したのは、『共謀罪MOVIE 共謀罪、その後・1話、2話』だった。寺澤有さんが脚本を書き、朴哲絃(パク・チョルヒョン)さんが監督した劇映画じたての作品だ。出演はフリーライターの方々。見る前はお遊びか、という警戒感(?)もあったのだが、どうしてどうして、撮影からカット割から音楽までかなり本格的。じっくり見てしまった。タイトルに「その後」とあるように、共謀罪がもし施行されたらどうなるかを2010年という設定で描いている。舞台はある雑誌社。首相を風刺したイラストをイラストレーターに発注する。編集者の一人は、実は警察への内通者でもあり、結果的に編集長・副編集長、イラストレーターが共謀罪で逮捕されてしまう。ここではっと気づくのは、共謀罪は立証がなかなか大変でもあるので、内通者(情報提供者・スパイとも言えるかもしれない)の存在が警察にとっても重要で、逆に言えば、どんな組織にもこうした人間が入り込んでいるかもしれないことを考えれば、相互監視的な嫌な社会がやってくる、ということだ。その後、話は警察の恣意的捜査が描かれる。証拠も少ないことから、自白を偏重する危険性が指摘されているわけだ。その結果、編集長・副編集長は不起訴となり、イラストレーターだけが有罪判決を受けて刑務所に入ってしまう、という流れになる。第2話では、そのイラストレーターが、刑務所内で出会った暴力団組長の事例が描かれる。近々、さらに第3話を製作予定で構想自体は7話まであるとのことだった。こうした表現は、「いかにわかりやすく、おもしろく伝えるか」という点でとても魅力的だった。
もちろん、劇だけが映像ではない。共謀罪TVのサイトでは、短いニュースや国会議員へのインタビューも数多く載っている。例えば、上映会でも紹介されたのは、国会前での抗議行動中に、警察が執拗に介入してくる様子をそのまま流したり(こういう場面は増えているにも関わらず、こうした映像はなぜかマスコミでは放送されない)、秋葉原でのアピール行動では、メイド服を着てビラを配る女性にイチャモンをつける警察などという笑える映像もある。また、デモに街宣車で抗議する右翼という迫力満点の映像もあった。こうした映像を流したことで警察も意識せざるを得なくなったと言う。また、記者クラブに加盟していないフリーライターの方々にとっては、普通、なかなか国会議員に取材するのは難しいのだが、野党議員を手始めに「共謀罪TV」を名乗ってかなり取材できるようになった話は興味深かった。上映後の質疑応答の中で、三宅勝久さんが語っていたのは、笑えるものをもっと出したい、とのことだった。とかく日本の「反対運動」はシリアスになりがちだが、確かに笑いでもっと伝わることもあるはずだ。また、林克明さんは、理屈がなかなか通じないので感覚・感性で伝える手段として映像の力を言われていた。
こうしたフットワークの軽さは、普段、フリーライターという仕事をしているからでもあるだろう。同時に、各々が楽しみながら好きなように表現している様子もよくわかった。インターネットで映像を流すのは難しくない時代だ。岩本太郎さんが言っていた、「出来ちゃった市民メディア」というのはいかにも今の時代にふさわしいのかもしれない。また、この日思ったのは、「ワンテーマ」の強さもあるのだな、ということでもあった。「共謀罪TV」がおもしろくなったのは、「共謀罪反対」という一点で表現者がつながったからでもあるだろう。現在開会中の国会では、「共謀罪」は再上程はされていないが、虎視眈々と成立を狙っている動きもあり、油断できない情勢であるらしい。教育基本法「改悪」を重要課題としているようでもあるので、「教育基本法TV」なんていうのも今後どこかで生まれるとおもしろくなりそうだ。「憲法9条TV」なんていうのもありだろう。そんなことを考えたビデオアクトらしい上映会だった。


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