第35回
VIDEO ACT! 上映会

〜 「遭難フリーター」完成試写会〜

上映会報告


遭難フリーター

報告文:土屋トカチ

 2007年7月20日、35回目となるビデオアクト上映会が行われた。今回はちょっと特別な上映会で、タイトルは『「遭難フリーター」完成試写会』。現在23歳の岩淵弘樹さん自身のフリーター生活・一年間を綴った作品で、今回初公開となった。プロデューサーはビデオアクト主宰で、「新しい神様」「PEEP "TV" SHOW」の監督である土屋豊さん。アドバイザーは、作家・雨宮処凛さん。上映日前から、マスコミやお客さんからの問い合わせも多く、参加者は65人。いつもの上映会と比べ、初めて参加される方が多く、場内は盛況でした。

  「遭難フリーター」は、派遣会社の寮における岩淵さん自身の生活を、手持ちのまま撮影した不安定な映像を軸としながら、岩淵さんのナレーションと、現場でのしゃべりに併せ、不安な気持ちが日記のように淡々と綴られている作品でした。 朝、やかましい目覚まし時計の音で目が覚める。一人で飯を食う。派遣会社の寮から工場へ向かう。土日は都内へ日雇い派遣の仕事に出掛ける。就職に成功した高校時代の友人と飲む。フリーターメーデーのデモに参加してみる。「かわいそうなフリーター」としてメディアの取材を受ける。取材を受けている自身を撮影する。アテのない夜の散歩(岩淵さんの言葉では「一人デモ」)をするなど、「浅瀬で溺れるような日々」の記録・記憶たちの連続。個人的にはフリーターや派遣労働者の映画というより、東京に憧れる孤独な若者の青春映画という印象を受けました。

  上映後は、この日のために仙台から駆けつけた監督の岩淵弘樹さんをはじめ、プロデューサーの土屋豊さん、アドバイザーの雨宮処凛さんも交えてのトーク&ディスカッション。 3人の出会いは、岩淵さんが受講した山形映画祭関連のドキュメンタリーワークショップ。 その時の講師が土屋さんで、その場に何故だか雨宮さんもいたから、という。
  岩淵さんはハケンや日雇いで働く理由を訊かれ「借金があったから。原因は、大学の学費を自分で納めていたので金がなく、ローンに手を出してしまった。」「生きることの困難さを、社会問題のせいにしたくない。社会・企業が悪いと言えるだろうけど・・・その前に働かなきゃならない。おかしいと思うがしょうがない。正社員に対する壁やズレがある。このサイクルから抜けられないでおります。」と語り、雨宮さんは、「今日、仙台から来れたのが奇跡。そのくらい、彼はお金がない。社会とたたかわないのもいい。派遣労働者の本音が、マスコミの報道でくるまれちゃっている。この作品は、フリーターである岩淵さんの本音。」と語った。

 現在の目標は、との問いに、「結婚です。今、彼女はいませんが。」という岩淵さん。 「遭難フリーター」は、人との対話や交流の少ない作品だったが、岩淵さんの本音の中の本音を訊けたような気がした。「遭難フリーター」は対話を求める作品なのだろう。  

 

上映会・アンケートより(抜粋)


■岩淵さんの淡々としてかんじが印象的でした。

■面白かったです!最後の歩きは「の・ようなもの」を思い出したりしました。前半の"労働の中身"の紹介をもう少し見せてもいい気もします。工場内が撮れないなら、図解や再現でも・・・  それであと10分長くなっても面白いかなと思います。
■フリーター当事者のメッセージ。アートであるのがよかったです。

■岩淵さんの隣に座っているだけで、土屋豊さんと雨宮処凛さんがモノワカリの良いオジサン・オバサンに見えました。いい作品を作り続けて欲しいし、作品をつくっても世の中は変わらないという矛盾を感じつづけて欲しい。

■岩淵さんのNHKで取り上げられたフリーター像に対する不満などはわかりますが フリーターの中にも本当にどん底のような生活をしている人もいると思います。このビデオでは、そういった人たちの不利益にもなる可能性がありますが、そういったことについてはどう思っているのですか?フリーターに対して楽観視している人ばかりではないと思うのですが。自分の夢(出版会社勤務)をつかめなかった時、数年後に夢の実現が不可能だとあきらめた時、妥協して夢とは違った職業で正社員を探すのか、もしくはフリーターのままで死んでいくのか、どちらを選ぶと思いますか?

■ディスカッションで初めて作品の内容がわかりました。作品中で考えられなかった。考えるのを止めた部分を消化できれば面白いと思います。次回も楽しみにしています。

■途中から入ったので何とも言えませんが・・・。キヤノンの派遣請負の実態を追求する!ドキュメンタリーだと勝手に思い込んで見ていたら、自分探し青春系ドキュメンタリーだったので驚いた!! これはひとつの「フリーター宣言」なのだろうか?しかし、提示された岩淵氏のフリーター像に新しい発見/視点があっただろうか?

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