第41回
VIDEO ACT! 上映会

公共の場って誰のもの?〜

上映会報告


   

報告文:土屋トカチ

 第41回ビデオアクト上映会のテーマは、「公共の場って誰のもの?」。参加者は41名だった。(上映会の回数と重なったのは、おそらく偶然デス!)

上映したの作品は『エノアールカフェ 〜we are living in the park!〜』『駅舎に登ろう』『学びの場が消えてゆく〜夜間高校の教室から〜』の3本だった。

この3作品は、日本ビクター株式会社が30年以上にわたって開催している「東京ビデオフェスティバル」で、優秀作品賞を受賞した作品である。かつて、家庭用ビデオカメラが販売された80年代には、どのビデオメーカーも、このようなビデオフェスティバルを開催していたようだ。
現在まで、一度も途切れることなく開催されているフェスティバルは「東京ビデオフェスティバル」のみだという。プロもアマも関係なく、ドキュメンタリーでもドラマでも、表現はなんでもアリの自由。誰でも応募できるフェスティバルだからこそ、問われるのは撮影技術や編集テクニックではない。 要は「何を伝えたいのか」なのだろう。今回セレクトさせていただいた3作品からも、その意気込みは十分伝わってきた。

1本目『エノアールカフェ 〜we are living in the park!〜』は、監督である吉田卓史さんが、東京・代々木公園のブルーテントコミュニティを訪ねていくとうもの。理由は、公園内で開かれているカフェのフライヤーを友人から貰って、気になっていたから。冒険するのに難しい理由は、いらないのだ。訪ねていくのは、彼が仕事を休める土日がメイン。行政の係の者が動きを見せるなど、急を要するときは有休休暇を取得して撮影にいったという。代々木公園に住み続けて、物々交換を主体としたカフェを開いてしまう、住人たちのたくましさが魅力的な映像だった。

2本目は『駅舎に登ろう』。独特な三角屋根の駅舎で有名な東京・国立市の国立駅駅舎が解体されてしまうことが決定した。そのことに心を痛めた監督の国本隆史さんは、国立市出身。大好きな三角屋根の感触を足の裏で感じたいと、解体工事前夜に「ある行動」を実践する。独特なセンスが炸裂した、ポップな映像作品だった。彼は当初、駅舎解体反対運動を行う市民グループに入ったのだが、運動が思うように進まなくなった。作品が出来た経緯を質問された国本監督は、「運動が進まなくてイライラッとした気持ちを、『うんこ』を出すように、エイヤッと作った作品です。」と述べた。


3本目は『学びの場が消えてゆく〜夜間高校の教室から〜』。夜間高校で15年間、数学の非常勤講師をしていた監督の斉藤雅之さん。非常勤講師の仕事の傍ら、映像制作を学ぶために通っていた映像学校の卒業制作として本作品を制作したという。監督自身が勤める夜間高校は、かつては勤労学生のために作られた学校。しかし、現在は様子が違っているという。不登校経験者、高校を中退した方、家庭の経済事情でアルバイトを掛け持ちしている若者、外国籍の方、先の大戦で学校へ通えなかった年配の方など、性別も年齢も経歴も国籍までもがバラバラだ。学校の役割は変化しているにも関わらず、行政側は夜間高校を統合したり、定員減を行ったりしているという。現場にいる教師から、学校へ綴られたラブレターともいえる、愛に溢れた作品だった。本作品は、日本ビクター大賞を受賞した。

3作品から提示された「公共の場」は、公園、駅、学校。 これら空間は本来、誰のものでもない。市民がみんなで共有するものだ。表現方法も問題提起も様々な3作品に共通しているのは「これら空間を、誰が、何が、居心地の悪いモノにしようとしているのか。」ということ。そいつが、透けて見えてくるような上映会だったと思う。


関連ホームページ
東京ビデオフェスティバル

上映会・アンケートより(抜粋)

■3本とも、とても面白かったです。国立駅の作品とエノアールカフェはネットのTVF(東京ビデオフェスティバル)のサイトで既に見ていたのですが、スクリーンで見るとパソコンで見ていて気がつかないところがあったので又違った部分が見えてきました。自分でも何か、数分の作品を作ってみたいと思いました。

■「エノアールカフェ」に関心あったので、面白く見れました。「駅舎」はやんちゃでブロークンのところがいい。「定時制」はよくまとまっていて、よく中味がわかり、大切なところであるのがよくわかった。

■どんな人であれ、その場にいるということだけで受け入れる彼らの姿に感動しましたが、 彼らにメガホンで立ち退き命令とか、移動命令する水色服の男性の声の鋭い冷めた感じ、 強さにゾッとした事の方がより強い印象を残します。 古い国立駅舎や定時制高校に通う人々も、エノアールの彼らと同じ立場であると感じました。社会主流からはずれたり、合理的でない存在は今の日本では消したい壁のしみのように、掃除されるのがよく分かる上映会でした。

 

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